予防獣医師の直良です。
今回は「犬猫の避妊去勢」についてYouTubeでお伝えしました!動物病院でもよく質問を受けるテーマなので、ぜひ見ていただければと思います!
結論から言いますと、「飼い主さんが責任を持ってするかしないかを決める」というところになります。
そのために獣医師側もしっかりとしたメリットデメリットなどの情報をお伝えする必要があります。
メリットにはまずあげられることして「性ホルモン疾患」の予防が挙げられます。
たとえば致命的な疾患として「子宮蓄膿症」が挙げられます。
他にも乳腺腫瘍や卵巣腫瘍なども女の子の性ホルモン系疾患として挙げられます。
男の子の場合、精巣腫瘍や前立腺疾患、会陰ヘルニアなどの予防にもなります。
また、望まれない出産の予防にもなります。殺処分問題も深刻なペットの世界。飼い主さんが避妊去勢手術を積極的に選択されることにより、これらの問題は解決されていくと思います。
デメリットとしては、手術のリスクです。しっかりとした術前検査や施設が必要になります。
また、術後の後遺症として「尿失禁」などが挙げられます。
過食になり肥満傾向になることもあるので、食事量のコントロールはとても重要になります。
避妊去勢手術は強制されるべきものでもないので、獣医師と飼い主さんとのコミュニケーションのうえで適した判断がなされることが重要なのだと思います。
手術の方法
まず、避妊去勢とよく言われていますが、「避妊」と「去勢」は全然違うものです。
まず、避妊手術は主に「女の子」で使われる言葉です。避妊手術は基本的には子宮と卵巣を摘出する術式です。お腹を開くことになるので、手術には若干時間がかかることがあります。尿管や膀胱などに触れることもありますので、尿失禁などの副次的な症状が出ることもあります。
中にはお腹を切開する術式ではなく腹腔鏡をお腹の中に入れて摘出することもできます。腹腔鏡による避妊手術をご希望の場合は、可能な病院を探していただくことが必要になります。
去勢手術は「男の子」で使われる言葉です。去勢手術は精巣を摘出する術式なので、お腹を開きません。なので、手術にかかる時間も短時間で済みますし、避妊手術よりも費用やリスクが低いのが一般的です。
ただ、精巣が降りてこずに腹腔内に残ってしまうことがあります。「陰睾」や「潜在精巣」といって、生後半年になっても精巣が降りてきない病気になっていることもあります。放置すると精巣腫瘍になったり前立腺疾患になるリスクが高まります。さらに、腹腔内に精巣が残っている状態なのでお腹を切開する手術になります。
このように、場合によって避妊去勢手術の術式が変わることもあるので、そちらも獣医師との相談により理解した上で手術を進めることをおすすめします。
今後も避妊去勢手術についてはYouTube動物大学の方でも公開していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします!
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