こんにちは。予防獣医師の直良です。
今回は…デグーとの暮らし方、その健康管理についてお話します。
今回は特に「食事管理」に重きを置いてお話しております。
デグーは最近とても人気なエキゾチックアニマルで
その飼育頭数はうなぎのぼりです。
しかし、やはりエキゾは飼い方に苦戦される方が多く、
質問が多いのも事実ですし、
最悪管理不全で早く死なせてしまう飼い主さんも少なくありません。
今回は、そんなデグーの健康管理法を伝授いたします。
2年間デグーも診療してきましたので、その情報を共有します。
デグーと暮らしているかたは必見です。
目次
予防獣医師がデグーとの健康的な暮らし方を伝授
デグーの飼い方で食事管理はもっとも大切
最近はデグーを飼育する飼い主さんが増えています。
しかし、デグーの食事管理をはじめ、飼い方がわからなくて困っている飼い主さんがたくさんいます。
デグーはまだまだメジャーとはいえないどうぶつ。
デグーの飼い方や食事管理について正しい知識がない状態で飼育している方が多いのが現状です。
動物救急でも、体調を崩してしまったデグーは
「飼育環境」「食事管理」「生活様式」に問題があることがほとんどです。
ここでは、デグーの適切な食事管理についてお伝えしています。
正しい飼い方、食事管理で健康なデグーと過ごしましょう!

デグーの食事生活を考える
~野生下での食事~
デグーといういきものは、野生下では何を食べているのでしょうか?
野生下で食べているものは、デグーが進化していく過程で必要不可欠なものということです。
つまり、野生での食事を考えることはとても大切です。
デグーは完全草食動物です。
野生では水分と栄養価の低いイネ科の植物を主として、植物の葉や種子、樹木の葉や枝、サボテンの果肉などを食べています。
季節に応じて食べるもののバランスが変わります。
寒冷期になると食事を巣穴に貯蓄するいきものであり、温かい時期に多くの植物を食べます。
つまり、デグーの食べ物の成分の多くは「線維質」ということになります。
~飼育下での食事~
では、飼育下ではどのような食事が適切なのでしょうか?
特に牧草は重要であり、主食とすべき食事です。
ペレットや野菜を副食と認識して、あげすぎないように注意する必要があります。
牧草の不足は不正咬合などの原因にもなり、食欲不振などを引き起こす可能性があるからです。
ペレットや野菜は適量あげるようにしましょう。
ペレットは体重の5%以下が理想的です。
野菜も1回一切れ程度にしましょう。
ご褒美やちょっとしたスキンシップをとる時にあげるくらいが理想的で、定期的に大量にあげるものではありません。
野生下と違うのは、運動量です。
飼育下では運動量が少ないので、エネルギーが過多になるような食事は控えるべきです。
そういった意味でも、牧草を主食とし、野生下での種子や果肉の代わり、補助食としてペレットや野菜をあげるように意識しましょう。

デグーの栄養学を理解して食事管理につなげよう
~デグーと糖質~
デグーは人間同様、糖尿病になるいきものです。
飼育下で糖質をあげすぎると、糖尿病になってしまうデグーがいます。
遺伝的に糖尿病になりやすい個体もいるので、デグーと暮らすうえで糖質の与えすぎには注意が必要です。
しかし、しっかりチモシーを主食として、ペレットや野菜を副食として適量与えていれば心配しすぎることはありません。
~デグーとビタミン~
デグーはビタミンCを別にあげなければならないという記載もあります。
しかし、ビタミンCをあげなくても長寿で健康に過ごしているデグーもたくさん見ています。
デグーと系統的に近いモルモットがビタミンCを合成できないということから、
デグーも合成できないのではないかという話がありますが、今のところ根拠はないようです。
しかし、ビタミンCは人間と同様に抗酸化作用や免疫活性を上昇させる効果があることから、体にメリットがあるようです。
ただし、過剰摂取は食欲不振、元気減退、下痢などの症状がでるので気を付けましょう。
デグーの主食とは?
上でもお伝えした通り、デグーの主食は「牧草」です。
牧草といってもいろいろな種類があります。
主に栄養価の低いイネ科が主ですが、マメ科の牧草もあります。
・チモシー
・アルファルファ(マメ科植物)
・オーチャードグラス
・イタリアングラス
・レモングラス
・バミューダグラス
などなど…
多くの飼い主さんはチモシーのみをあげていますし、それで悪いというわけではありません。
僕もデグーには牧草としてチモシーのみをあげていました。
僕がよく飼い主さんに伝えているのが
「チモシーの海での生活の中で、決められた時間に決められた量の副食を与える」
というものです。
また、牧草は保存状態が大切です。
乾燥剤などを入れて管理するといいでしょう。
牧草を出す時に誤って乾燥剤を出し与えてしまうケースも稀にあります。
異物摂取などの危険性があるため注意しましょう。
チモシーは常にある状態にしてあげてください。
チモシーを床材として認識している方がたまにいますが、それは危険な考え方です。
本来牧草を主体とした食生活をおくるどうぶつですので、しっかり食べ物として認識させましょう。

デグーの副食とは?注意すべきこととは?
デグーの副食はペレットと野菜です。
「チモシーの海に決められた時間に決められた量の副食を与える」
この考え方に則って考えると、デグーの副食は与える時間と量をしっかり決めてあげましょう。
~ペレットフード~
最近はデグー専用のペレットフードが多く販売されるようになりましたが、以前はモルモット用のペレットフードが多く利用されていました。
今でもモルモットフードを利用されている飼い主さんもいますし、これも一つの選択肢だと思います。
ペレットは朝に1回、もしくは朝と夕方に1回ずつあげるのが昼行性であるデグーにとって理想的と言えます。
1日のペレット量は体重の5%以下が理想的です。
ペレットは褒める時や喜んでほしい時など、コミュニケーションツールとして利用されている方もおり、
賢い使い方だなと思ったこともあります。
~野菜などの副食~
デグーの食性を考えると、葉としての野菜を与えることは良いことです。
季節によって旬の野菜をあげると栄養学的、中医学的にも良いとされています。
特に若齢のデグーでは食に対する柔軟性があるので、若いうちにいろいろな野菜をあげてみると良いでしょう。
逆に、穀物や果実を多く与えすぎると、前述のように肥満症や糖尿病などの疾患を招くことになるので控えましょう。
また、生野菜は軟便の原因になることもあるので注意しましょう。
いずれにせよ、副食は与えすぎないようにするべきです。
与えるにしても、定期的に与えるのではなくご褒美や食欲を回復してほしい時に与えましょう。
デグーに与えてはいけない食事を知ろう
代表的なものとして以下のものはデグーにとって中毒症状や下痢嘔吐などの症状をもたらす可能性が高いので控えましょう。
・ネギ類
これは犬などの他のどうぶつでも同様ですが、
アリルプロピルジスルフィドという物質が貧血、黄疸、痙攣などの症状を引き起こす可能性があります。
・梅、桃、さくらんぼなど
青酸配糖体(アミグダリン)という中毒物質を含みます。
下痢嘔吐などの消化器症状をはじめ、重度だと呼吸困難や痙攣などの症状を引き起こす可能性があります。
・ジャガイモの芽や青い皮
ソラニンという物質が中毒物質として挙げられます。
人間でも注意が必要な物質です。
・多くの人間食
味の濃い食事や糖分、脂肪分を多く含むお菓子などの食事はデグーの健康管理では適切ではありません。
また、アルコールや糖分の多い飲料ももちろんNGです。
乳糖を多く含む牛乳や乳製品も消化不良により下痢などの消化器症状を引き起こす可能性があります。
デグーの飼い方は食事管理が鍵となる

デグーに限らず、身体はほとんど食事と水で作られます。
不適切な食事内容では身体を健全に維持することはできなくなります。
特にデグーのように体の小さなどうぶつは食事内容で健康状態が大きく左右されます。
牧草を主食にできずに動物病院にかかられる飼い主さんが多いので、
牧草主題の生活に切り替えることがもっとも重要になります。
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