こんにちは。予防獣医師のNAOchanです。
今回は、マルチーズでできる予防についてお話しします。
この記事を読むことで
- マルチーズという犬種でなりやすい病気とは?
- その病気に対する予防や対策は何か?
というところがわかるようになります。
マルチーズと暮らしている飼い主さんはぜひ知っておいてほしい内容です^ ^
YouTube動画も記事の最後に貼り付けていますので、ぜひご覧ください^ ^
マルチーズでできるターゲット予防と健康法
まずはマルチーズにおきやすい疾患と、その予防法についてご紹介いたします!日々できること、たくさんありますよ^^
鼻涙管閉塞(涙やけ)
マルチーズもそうなんですが、わんちゃんは鼻涙管といって、涙液を鼻の中へと通す管があります。
涙液はいわゆるなみだのことで、目の保湿や保護をする役割があります。ドライアイから目を守ってくれますよね。涙液は涙腺から分泌されますが、鼻涙管を通して鼻の中(鼻腔)へと流れ込みます。
つまり、鼻涙管が詰まって閉塞してしまうと、涙が出て止まりにくくなってしまうのです。涙の逃げ場が無くなっている状態になるということですね。

生まれつきなりやすい状態という先天性であることがあります。
まつ毛などが伸びていて眼球に接触することで眼に刺激が加わり続け、結膜炎や角膜炎などが起こり、それに併発して鼻涙管閉塞が増悪することがあります。
涙やけが起きると、眼だけではなくて皮膚の部分にも感染が起きやすくなります。なので、涙やけの早期発見が必要になります。
そして、涙やけの症状を放置すると、自分で痒がって目を掻いてしまう子も増えてしまいます。爪で引っ掻いてしまうと大きな傷ができたり出血したりして、最悪目の手術をしないといけないという状態になることもあります。
なので、いち早く気づく早期発見や、まつ毛などの管理をしっかりすることが大事です。まつ毛をカットするときに、事故を起こさないように気を付けましょう。トリミングなどプロの手を借りるなどした方が安全だと思います。
膝蓋骨内方脱臼(ひざの皿の脱臼)
わんちゃんにもひざの皿があるのですが、その皿が内側に脱臼することを「膝蓋骨内方脱臼」といいます。膝蓋骨(ひざの皿)は滑車溝というくぼみにおさまっていますが、そのくぼみから膝蓋骨が外れてしまうのです。小型犬ではよく内側に脱臼するのでその場合を内方脱臼と言います。
普段は外れていないけどふとした拍子に外れてしまう、普段脱臼してしまっているけどたまに自力で戻せる、もう常に脱臼状態などなど、グレードは四段階あるんですが、ひどい状態の場合は手術をすることもあります。これも悪化させないことが大切です。
膝蓋骨脱臼をおこすと
- 脱臼を起こしている後肢を上げる(挙上)
- 後肢を痛がる(疼痛)
- 後肢を動かしたがらない、運動したがらない
といった症状が出やすいです。
予防にはいろいろありますが、ぼくがよく「膝蓋骨脱臼の生活習慣三要素」というものがあります。その要素を取り除くことで、脱臼の予防につながります。
① フローリングちゃかちゃか
滑りやすいフローリングの上をよく走ったりジャンプしたりすると、後肢の関節に大きな負担をかけることになり、膝蓋骨脱臼がおきやすくなってしまいます。

② 段差の多い生活
特に階段ダッシュや玄関、ソファなどの上り下りが頻回にあると、後肢の関節に大きな負担がかかるので、脱臼がおきやすくなります。
③ テンション上がったときに二本立ち
わんちゃんはテンションが上がると両前脚を浮かして、後肢だけで立つことがありますが、あれを頻回に繰り返すと後肢に大きなストレスがかかります。
そして、これら三つの生活習慣に加えて、脱臼の増悪因子はもう一つあります。それは…
肥満
そりゃそうですよね(笑)これは多くの疾患の原因にもなるので、膝蓋骨脱臼だけではなくて、肥満にさせないよう飼い主さんが食事や運動管理、ストレス管理をしていきましょう。
心臓病
心臓病はマルチーズだけではなくて、キャバリアキングチャールズスパニエルやチワワ、ポメラニアンなどの犬種でも多い疾患です。
心臓病は仕方がないという人も多いですが、しっかり予防できるものです。
特に心臓病はひどくなると以下の救急疾患のリスクが急激に増大します。
「心原性肺水腫」
心臓の機能低下によって全身に血液を送ることが難しくなり、肺高血圧になることでガス交換がなされる肺胞などの肺の空間に液体が溜まる病気。溺れ場状態になり救急疾患でもかなり重症です。
「腎臓病」
心臓の機能低下によって腎臓への血流が低下すると、腎機能が低下して腎臓病になることが多いです。また、老廃物の排泄が難しくなるので身体に毒素がたまって尿毒症などになります。全身の機能不全にも陥り、救急疾患でも重症例です。
「血栓症」
心臓の機能低下によって血流が弱くなり、血栓といって血液のだま、固形化したものが血管内にできます。そうすることで、血流がさらに阻害されます。よく「梗塞(こうそく)」という病気を聞いたことがあると思います。脳梗塞、脊髄梗塞などですね。それらも血栓に関係します。急死する可能性もある救急疾患です。

これらの救急疾患は生死に関わるだけでなく、非常に苦痛を伴う病気です。
やはり肝心、肝腎と昔から言われているように、肝臓、腎臓、心臓は生命の維持にはとても重要なのです。
マルチーズは心臓の弁が逆流する僧帽弁閉鎖不全症になりやすい犬種です。事前に予防出来るに越したことがありません。それがターゲット予防です。
散歩のペース
散歩のペースを調整することは意外と重要です。散歩時には多いときには1分間に180回以上の脈をうつわんちゃんもいます。ちなみに通常は小型犬でも約60-80回とされているので、かなり速いことがわかります。小型犬にとってペースが速すぎる散歩や緊張するような散歩では慢性的に心臓の負担がかかりやすくなってしまいます。
ただ、有酸素運動の要素のある安定的な散歩は循環を良くして筋肉増大も期待できるので、むしろ健康的と言えます。急激に心拍が増加するような不安定な散歩を控えるという意識が大事だと思います。
食事は塩分控えめ
人間もそうですよね。塩分多めで高血圧になってしまうと心臓への負担は高まります。人間の食べ物をわんちゃんにもあげる方はいますが、味の濃さは控えめに、塩分控えめのものをあげるようにしましょう。あげるなとは言いません(笑)
肥満対策
体重や体型管理はとても大事です。膝蓋骨脱臼の時にも言いましたが、これはもちろん心臓病にも関係しています。肥満は活性酸素の増幅や循環効率の低下をまねくので、少しずつ適切な体型体重に戻していきましょう。
他にもたくさんありますが、やりやすいのはこの辺りかと思います。まだまだできることはありますので、このブログで動物予防医学を配信し続けてまいります。
マルチーズのターゲット予防の動画はこちらになります(↓)
今日もご覧くださり、ありがとうございました!
予防はエンターテイメント!
予防獣医師 NAOchan
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