こんにちは。予防獣医師の直良です。
みなさんは「NMN」という物質をご存じでしょうか?
2015年にNHKが取り上げてから話題となっているもので、サーチュインという抗老化作用や長寿にかかわる酵素を活性化させることで、健康長寿をもたらすというような物質として有名になりました。
人ではすでに利用して効果を実感している方はたくさんいらっしゃいますが、今回はペットのわんちゃんやねこちゃんたちにも応用できないかということで、NMNをご紹介していきます。
目次
NMNとは?
なぜNMNを取り上げたのか?

獣医師としてよく飼い主さまから相談されるのが
- 食事について
- サプリメントについて
どんなものがいいのか?という質問です。
これらに関しては、正直一対一の関係となっていかないと正確なアドバイスはなかなか難しいものがあります。
生活習慣や生活環境、日常的に食べている食事、体質、あらゆるものが絡んでいるからです。
栄養学はとても難しく、不足することも問題ですが、摂取しすぎたり、栄養バランスを崩すことで体調を悪化させることもしばしばあるからです。
そんな中で、副作用や摂りすぎによるリスクがするなく、かつ健康長寿に効果が期待できるようなものは、とても提案しやすいのです。
今回取り上げているNMNという物質はそんなリスクが少なく、健康長寿に貢献するようなものになっています。
NMNとはどんな物質なのか?

NMNの正式名称は
「ニコチンアミド・モノヌクレオチド」
です。
体内では普通に存在する物質です。
もとはビタミンB群の一種であるナイアシンから体内で作られる物質です。
なので、NMNは新薬でもないですし、危険な物質でもありません。
そして、そのNMNは体内でNAD+という補酵素に変換されます。
このNAD+ももちろん体内では豊富に存在する物質なのです。
では、なぜこのNMNが抗老化につながるのでしょうか?
NMNはサーチュインを活性化して抗老化をもたらす

みなさんは「サーチュイン遺伝子」をご存じですか?
たまに健康番組やニュースとかでも取り上げられる遺伝子ですが、遺伝子工学などの研究分野ではとても熱いテーマとなっており、現在でも多くの研究者が研究にいそしんでおられます。
なぜそんなに激熱な遺伝子なのか?
それは、サーチュイン遺伝子が「抗老化」に関係しているからです。
サーチュイン遺伝子と検索するとわかると思いますが
- 抗老化遺伝子
- 長寿遺伝子
- 若返り遺伝子
などとよく表現されます。
ぼくも遺伝子工学の研究をしていた時期がありますので、サーチュイン遺伝子については結構勉強していたことがあります。
さすがに不老不死とまではいきませんが、サーチュイン遺伝子の研究が進むと、健康寿命の延長に期待できることがわかります。
さて、そのサーチュイン遺伝子なのですが、遺伝子が発言すると「サーチュイン」という酵素を出します。
このサーチュインという酵素は「ヒストン脱アセチル化酵素」という分類の酵素です。
遺伝子工学の難しい話になるので簡単に話すと、サーチュイン酵素が働くことで、抗老化や長寿をもたらすのです。詳しい機構などはまた説明しようと思います。
そのサーチュイン酵素はNAD+の存在下で活性化して機能するのです。
そうです、NAD+はNMNから作られるんでしたよね。
つまり、NAD+が少なくなると、サーチュインの活性が低下して、抗老化作用が低下する。つまり老化が進行してしまうということなのです。
NMNを摂取するとどうなるの?

ここで一つ疑問がわいてくるとおもいます。
「なぜ体内にすでに存在しているNMNを摂取する必要があるのか?」
それは、NMNは加齢とともに減少していくからです。
NMNは青年期を過ぎると徐々に減少していき、それに伴ってNAD+も減少していきます。
これらが加齢によって体内から減少していくと、サーチュイン酵素の機能が低下してしまい、結果抗老化作用が弱まっていってしまいます。
抗老化作用は身体を若々しく健康に保つためにはとても重要な作用です。
なので、加齢に伴って減少する抗老化作用を補うために、NMNを摂取するという考え方なのです。
体内でもともと作られるものなので、安全性はとても高く、
さらにNMNは生分解されやすいので、摂取しすぎることで大きな負担になるリスクは低いと考えられます。
ただ、なんにせよ多くとりすぎることはよくないとは思いますが(笑)
NMNは遺伝子学的に抗老化作用をもたらすとても画期的な物質であり、サプリメントとして摂取することが推奨されます。
また、エビデンスも大量にあるため、とても信頼性が高い物質です。
エビデンスについても今後解説していこうと思っています。
今後もNMNは注目されてくると思いますが、一足早くぼくも日々の健康維持や動物診療に応用していきたいと思っています!

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